進化する医療―オンライン診療って何やろう―

診療は対面して行なう(対面診療)のが原則です。医師法20条には「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書、若しくは処方せんを交付」してはならないと書いてあります。ところが、今年の4月の診療報酬改定で「オンライン診療」という言葉が出てきました。一定の条件下にあってはオンラインで診療しても医師法20条違反ではないと厚生労働省は言います。

オンライン診療は、要するにPC(パソコン)やスマホなどの機器を使って医師が離れた場所から患者を診療するということです。初診と3ヶ月内に1回は対面しての診療が必要であったりしますが、今までは、対面なしの診療は電話による再診しかなく、極めて例外的なものであったことを思うと、画期的なものであると言って良いと思います。

何かと忙しい働き盛りの方々、在宅医療を受けるまではないが通院がしんどいという方々にとって朗報と言えるかもしれません。今は限定的なものであると言って良いでしょう。報酬の水準も高いものとは言えないので積極的な病医院はまだ少ないと思いますが、国もICT(情報通信技術)を用いた医療の質向上と効率化を図っていきたいとしていますので、急速に普及していくことが予想されます。

主治医の先生は決めておかなければなりませんし、急変時の対応も必要とされます。ですから安心して診療を受けられると思います。地方によっては外来患者の多くが平均80歳であったり、慢性疾患患者であったりします。車も運転できないから通院が大変だという患者にオンライン診療はピッタリではないでしょうか。近い将来、「オンライン服薬指導」も始まるようです。幅が広がっていきそうです。

「高齢者はスマホを持たないから」という意見もあります。「だから高齢者を念頭に置いたオンライン診療は普及しない」という意見です。果たしてそうでしょうか。在宅医療、介護関係者は知っています。スマホは使わなくてもPCやタブレットを日常的に使う高齢者は多くいますし、タブレットは少し触れば使いこなせるようになるというのが実際です。高齢者はネットなどICTに弱いというのは、一昔前の偏見でしかありません。

「セキュリティは大丈夫だろうか」という心配も、オンラインでない診療でも同じ状況であることを考えればいかがでしょうか。「オンライン診療」、ちょっと調べてみませんか。

ただし、現在のところ花粉症(アレルギー性鼻炎)が、オンライン診療の対象疾患になっていませんので、もうしばらくお待ちください。

2018年11月2日 | カテゴリー :